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お茶のカジハラ

梶原敏弘

山深き茶園で作られる紅茶は、
この土地がつくりだす味わい。

 熊本県葦北郡芦北町告(つげ)地区。山深い集落にお茶のカジハラはあります。茶畑は集落の中や、山の中に点在しています。ここで作られる紅茶がロンドンで行われたコンテストで世界一に輝きました。

 紅茶へのこだわりなど、三代目梶原敏弘さんにお話を聞きました。

お茶のカジハラ

告地区

 熊本県芦北町の告地区。くねくねとした林道をぬけると集落がみえてきます。9軒ほどの集落の周りには点々と茶畑があり、古くからこの地区の人たちが飲むお茶「告茶」として親しまれてきました。お茶作りをする人も年々少なくなるなかで、ここでつくられる「告茶」を作り続けたいという思いがあります。

 ここには、自生の山の茶があり、昔からその山茶は、直火の釜で作る「釜炒り茶(緑茶)」が作られてきました。

​ カジハラ茶園では、その茶葉で紅茶を作ります。品種や季節ごとに、香りや味わいが違い、それぞれに個性のある紅茶となります。

お茶のカジハラ
お茶のカジハラ

香りのお茶といわれる「香駿」は釜炒り茶にも紅茶にも。茶葉は「秋摘み香駿紅茶」

 告地区の他に、山奥や車で30分以上離れた場所にも茶園があります。近年は、放棄された茶園を預かり、茶園を再生させることもあるそうです。
 それらのほとんどが山の急な斜面。傾斜がきつく、機械を入れることができないため、背負式リュックで有機肥料を振り、可搬式の摘採機でお茶を摘まれます。手間のかかる作業にくわえて、農薬は使わない、環境に負荷をかけない栽培をされています。

お茶のカジハラ
お茶のカジハラ

大野地区 山の中腹の茶畑

お茶のカジハラ

 お茶作りは、中国や台湾に行き、お茶作りの真髄を学んだところはじまりました。

 「茶葉の芯水をいかに抜くか」これが茶作りには最も重要なこと。

 

 風を送りながら水分を抜いていく「萎凋(いちょう)」の見極めが紅茶の出来を左右するため、紅茶作りの時期は、睡眠時間も削ってでも、その時の気温や湿度に応じて丁寧に作業していくのだそうです。

お茶のカジハラ

萎凋(いちょう)

お茶のカジハラ

発酵中の紅茶

 2022年、ロンドンで行われたお茶のコンテスト

THE LEAFES INTERNATIONAL TEA ACADEMY AWARD S2022 (THE UK TEA ACADEMY 主催)にて「夏摘みべにふうき」が紅茶部門で金賞、さらに全ジャンルのなかで最優秀賞であるBEST IN SHOWを受賞。​世界一の紅茶という栄誉に輝きました。

 ロンドンでは、

「これまで飲んだことのない味と香りで、非のつけようがない。」という感嘆の声をいただいたそうです。

夏摘みべにふうき
お茶のカジハラ
梶原敏弘
お茶のカジハラ

山の中で手間を惜しまず作る紅茶。


​そこでしか作れない紅茶は、人々に感動を与えてくれます。

 2024年9月

取材・写真 安本多美子

お茶のカジハラ

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